うつかなっと思ったら絶対に治してみせる!」のではなく、「手なずける」ことを考える軽いうつ病 ― 最近よくいわれるようになった「軽症うつ」のことです。 重症になったら、場合によっては入院が必要ですが、「軽症うつ」の場合は、なんとか日常生活はこなせます。 だから軽く考えていると、なかなか治らず、何年も引きずることになります。 今、うつ病に苦しんでいる人の多くは、この軽症うつではないでしょうか。 「なんとなくだるい。仕事がつらい」 「眠りが浅い。なかなか寝付けない・・・」 「気が重くて出社する元気がない・・・」 こういう状態の人を「怠けるな」としったすることは簡単ですが、それでは「うつ状態」は治りません。 本人は、決して怠けようとしているわけではないからです。 うつ病になったら、それとうまく付き合うことが大事だと思います。 なぜなら、うつ病は、強引に治そうとするとかえって悪化することがあるからです。 胃腸がじょうぶではない人が下痢をしやすいように、 ストレスに対する抵抗力が弱い人はちょっとしたきっかけで「うつ」もしくは「うつ病」になりやすいのです。 真面目な人、しっかりした人は、いろいろなことを気にやみ、それがストレスになる。 ほどほどにまじめで、ほどほどにしっかりしていればいいのですが、気まじめすぎて、しっかり加減も度が過ぎていると、いろいろなことが気になります。 そして、「なんとかして治さなければ・・・・」と焦って、ますます深みにはまるのです。 人間は、いろいろな人と係り合いながら生きています。 上司と部下、先輩、同僚、友人、夫婦・・・・そこには様々な軋轢も生まれるでしょう。 人間関係に何らかの問題がある状況では、ストレスに弱い人はもちろん、そうでない人も誰でも「うつ」になる可能性があるといってもよいでしょう。 しかし治らない病気ではない多くの人がストレスを感じる世の中になってから、「うつ」または「うつ病」とう言葉が、かなり一般的に使われる ようになりました。 「実は、今日はちょっとうつなんだよ」 「やっと、うつ状態から抜け出せてね・・・」 などという会話さえ交わされています。しかし、実際のところ、「うつ病」は、一般の人にはなかなか分かりづらい病気です。 うつ病になっている人ですら、自分が軽傷のうつなのか、中程度のなのか、 あるいは病的なレベルではない、単なる”うつ状態”なのか、わかっていないことも少なくないのです。 人間はだれでも「不安」「憂うつ」「落ち込み」といった精神状態になります。 これがどのレベルになったら「病気」になるのか、あまり理解されていないように思います。 身体の病気なら発熱や痛みなどの症状がありますが、うつ病の症状は、当人にしかわからない主観的で観念的なものだからかもしれません。 いずれにしても、「うつ病」の人は急速に増えています。 それはストレスの多い世の中になったからなのか、精神科の敷居が低くなって多くの人が精神科や神経科に行くようになったからなのか、正確なところはわかりません。 しかし私の周りをみても、「うつ」「うつ状態」にある人は、かつてより確実に増えているような気がします。 自分を追い詰めずに、ゆっくり治そううつになると、まるで水の底に沈んで浮かび上がることができないような感覚になります。 自分はこのまま駄目になるのではないか、 生きていても仕方がないのではないか・・・・そんな風に考えて自分をどんどん追い詰めていきます。 重症になると入院が必要ですが、軽症のうつ場合はそれでも出社したり、ひとに会ったりできます。 そこには、対人関係において必至で明るくふるまおうとする自分がいます。 そしてそんな自分がますますにイヤになる・・・・・うつ病はそういう病気です。 「あなたは明るい人ですね」 そう言われ、実は「明るさ」を演じているだけだ― と叫びたくなる。 「軽症うつ」は、そうした、「なんとか日常生活に支障がない程度のうつ」です。 徹底して治療ができないせいか、2年も3年も引きずることになります。 がんばって治そうとするからか、あせって深見にはまっていく。 「うつ病」の正体を知って、”ゆっくり”治すように気持ちを切り替えていきましょう。 「うつ病」はたしかに長引きやすい側面をもっていますが、 きちんと治療し、それなりの対応をすれば、いつかは必ず治る病気なのですから。 それでは、「うつ」と「うつ状態」の違いから述べていきましょう。 ---------------------------------------------------------- 心理療法・カウンセリングのオレンジ物語 お気軽にご質問ください→こちら |